四国の国際協力人

高知希望工程基金会

今回は、高知県にある国際協力NGO「高知希望工程基金会」会長の前田正也さんにお話を伺いました。高知希望工程基金会(前田さん)

1. 団体の設立はいつですか?

1997年7月1日です。1995年に阪神大震災が発生し、それまで地方では、国際協力団体にも集まっていた寄付金が、すべて震災復旧・復興へ向けられました。だから、1997年に設立することには、大きな覚悟がいりました。

2. 団体の設立経緯を教えてください。

当時、高知県と中国安徽省の友好県省交流の通訳として安徽省を何度も訪問する中、安徽省の貧困農村地域の教育事情を知り、「自分たちにも何かできる支援をしたい」と思ったことが始まりです。

3. どんな活動をされていますか?

当初は、就学支援、危険校舎の再建・修復、学校図書室の整備、スタディーツアー、日本語教師の派遣などの活動を行っていました。予算規模も例年1000万円を超えていましたが、近年は、数百万円です。地方のNGOが無理をして大きな事業を継続すれば、組織は疲弊します。リーダーには、資金を集める自信と無理をしない勇気が必要です。
2000年から、JICA青年研修事業(以前は、青年招へい事業)を受託できたことも大きな財産です。というのも、安徽省以外の中国、海外の活動は、すべて研修事業で知り合った海外青年とのネットワークで出来上がっているからです。今でも、毎年、彼らに会いに出かけています。それから、この研修の窓口であるJICA四国の担当者やコーディネーターの方々の名前と顔は、今でも鮮明に浮かんできます。それだけ、この事業は私たちや高知の青年に大きな影響を与えています。
もう一つ、インパクトが大きい事業がスタディーツアーです。小学生から青少年の男女が参加する海外学習旅行という趣旨から、旅行中の生活管理は厳格ですが、毎晩開かれるミーティングでは、今日、見て、感じて、今思うことを本音で語り合い、学び合いの空間を創造します。多文化・多世代の本音トークをまとめるのは、本当に難しい、でも、地力がつきます。日替わりで落ち込むメンバーに、スタッフがしっかり寄り添い、一緒に勉強を重ねるスタイルが良かったと思っています。

4. 活動のやりがいは何ですか?

小さい団体だけれども「10年、20年続く、豊かな人間関係が世界にできる」ことです。私たちの団体の規模や方向性は決まっていて、分相応の活動の中で、充実感やしっかりした手ごたえが感じられる活動を中心に行っている結果だと思っています。会としては37カ国の人と交流があり、今でも出会った人たちとの交流は続いています。
また、スタディーツアーに参加した人はみんな「同士・同志」となります。共に意見を交わし、ぶつかり合い、刺激しあった同士・同志は本当に深く分かりあえた、一生ものの関係になっています。当時はまだ、小学生だったメンバーも育ってきました。
活動を続けて、「愛情と感動にあふれ、人生が豊かになった」と言えます。言葉にはできない喜びがあります。

5. 前田さんが国際協力活動に取り組むようになったきっかけは何ですか?

私は1981年1月~3月、日本政府主催の「第14回青年の船」に乗船し、シンガポール、ビルマ、インド、スリランカを訪問し、初めて青年海外協力隊やNGO活動に触れたことがきっかけでした。また、私たちが訪問したインド・カルカッタには、1年2か月前にノーベル平和賞を受賞したマザーテレサの活動の本拠地がありました。当時のカルカッタは、同じインド人の仲間も驚くほど衛生状態が悪く、私を含めほとんどの参加者がとても強いショックを受け、「ここで一生救済活動をするということは、どういうことなのか」とマザーテレサの活動の意味を考えました。他方、自分たち青年の船の参加者は、船の上で食べ残しを作りながら、世界の平和や飢餓を語っているんです。この矛盾を自分の中で、どのように消化すればいいのか感じずにはいられませんでした。でも、その自己矛盾と日々流れてゆく現実に真剣に向き合ったことが、今の活動を継続している原動力になっていると思うと、人生の皮肉と奥の深さを感じます。 
帰国後、上京し、通信教育課程で入学していた大学を卒業し、2年後に台湾に留学しました。4年後、帰国。平成に入り、高知県でも(財)高知県国際交流協会が設立され、これから高知県にも中国語の人材が必要だということになり、私に入職の朗報が届きました。高知の協会は、予算も人員も事務所のスペースも日本最小。いや、だから私が企画し、一人しかいないトップが了解すれば、何でもできる。まだ、他県の国際交流協会が地域の国際化をテーマに掲げていた時代、ラオスやモンゴルへ国際協力をテーマとしたスタディーツアー実施し、地域を巻き込んだ国際協力の風を吹かせることができたのも、こういった組織事情や経験値があったからのことです。
「外国語もできない田舎の若者に日本政府が青年の船というチャンスを与えてくれた、小さなNGOにJICAが研修事業をとおした出会いを与えてくれた」ことに、今でも感謝しています。

6. 団体の課題は何ですか?

私たちの団体は、あまり欲張らないので、大きな問題も課題もありません。なるようになるし、なるようにしかならないと思って、気楽に活動しています。

7. 団体としてこれから取り組みたい事は何ですか?

私たちのメンバーの多くが、内閣府主催の青年国際交流事業に参加した経験を持っています。近年は、そのOB組織である高知青年国際交流機構(高知IYEO)とコラボ交流を行っています。今後も同じスタイルの団体や地元の青少年と、今のままの自然体で「人材交流と人材育成」を続けます。

8. 最後にメッセージをお願いいたします

人生とは、誰と出会って、何を感じ、何を語り、どの道を選択するかです。アップダウンのある道を、このカーブの向うにどんな景色が待っているのかワクワクする人生を楽しみましょう。

(2015年3月インタビュー実施、インタビュアー:三宮結衣さん、國元愛優さん)

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